治験コーディネーターに看護師が適する理由

医薬品や医療機器を開発する際、人体に使用した場合の安全性や有効性を確認するための治験が行われています。様々な実験を繰り返し、理論上の安全性や有効性が担保されていたとしても、実際に人体に試してみれば、想定外の事態が起きるかもしれません。
こうしたリスクを承知の上で、自分が新規開発製品の効用を試される被験者となるのは勇気が要ることでしょう。しかし、最終的に実用化が認められるためには、どうしてもこのような治験を経ることが必要です。

被験者となる人は、傷病に悩まされる患者であり、藁にもすがりたいほど心理的に追い詰められている人も少なくありません。少しでも治癒の可能性があるなら被験者になっても良いという患者もいます。
ただし、安全性や効用に敏感になっている患者の不安を取り除き、安心して治験に臨ませるためには、専門家が説得力のある説諭をする必要があります。
この点について、被験者を説得する役割を担う治験コーディネーターとしては、医療に関する知識がある看護師が適していると言えるでしょう。

看護師は医療従事者であり、基本的な医療知識を備えた専門家です。新規開発製品を被験者に試した後も、体調変化について医療技術を駆使してサポートすることができます。
被験者は看護師がフォローしてくれれば、安心して治験に臨めるでしょう。看護師自身も傷病治癒の可能性がある医薬品や医療機器の新規開発に関われる喜びを実感できます。ただし、治験コーディネーターの仕事は看護師の実務経験としては認定されないので、看護師の経歴としては空白となることも忘れてはいけません。